割引の重ねがけ:30% 引きと 20% 引き×10% 引きは違う

約5分

「30% 引き」と「20% 引きしてさらに 10% 引き」、どちらがお得?答えは前者ですが、直感に反する割引計算が日常にあふれています。本記事では割引の数学を整理します。

基本の割引

20% 引きとは:

割引後価格 = 元値 × (1 - 0.20) = 元値 × 0.80

1000 円の 20% 引きは 800 円。

重ね割引:足し算ではない

「20% 引き」の後に「さらに 10% 引き」:

1000 × 0.80 × 0.90 = 720 円

「20% + 10% = 30% 引き」だと 700 円なので、重ね割引のほうが 20 円高い

方式倍率1000 円 →
30% 引き× 0.70700 円
20% 引き → さらに 10% 引き× 0.80 × 0.90720 円
10% 引き → さらに 20% 引き× 0.90 × 0.80720 円

順序を入れ替えても同じ(乗算は可換)。だが「足し算」とは違う。

クーポンとセールの組み合わせ

「セールで 30% 引きの商品に 10% 引きクーポン適用」:

1000 × 0.70 × 0.90 = 630 円

「合計 40% 引き」と思いがちだが、実際は 37% 引き相当。

ポイント還元との違い

「10% ポイント還元」と「10% 割引」は別物:

  • 10% 割引:1000 円のものが 900 円
  • 10% ポイント還元:1000 円払って 100 ポイントが返ってくる
    • 次回 100 ポイント分の割引 → 実質 1000 / 1.10 = 約 909 円

ポイント還元の実質割引率は名目より小さい

実質割引率 = 還元率 / (1 + 還元率)
  • 10% 還元 → 実質 9.09%
  • 20% 還元 → 実質 16.67%
  • 50% 還元 → 実質 33.33%

「ポイント 5 倍デー」がそこまで魅力的でない理由。

税金との順序

消費税 10% の例:

税抜き価格に割引、その後税

1000 × 0.80 × 1.10 = 880 円

税込み価格に割引

1100 × 0.80 = 880 円

数学的には同じ結果(× 0.80 × 1.10 = × 1.10 × 0.80)。

ただし端数処理で差が出ることも:

  • 1000 × 1.10 = 1100、× 0.80 = 880
  • 1000 × 0.80 = 800、× 1.10 = 880

整数前提の場合、計算順で 1 円違うことがある。

「最大 50% OFF」の罠

「最大 50% OFF」と書いてあっても、実際は:

  • 一部商品のみ 50% 引き
  • 多くの商品は 10〜20% 引き
  • 最低でも何 % 引きかは書かれていない

「最大」の表記は法律的には許されているが、消費者保護の観点で問題視される国もある(米国カリフォルニアなど)。

「2 つ目半額」の実質割引率

「1 つ目通常価格、2 つ目半額」のケース:

  • 1 つ目:1000 円
  • 2 つ目:500 円
  • 合計:1500 円
  • 元値合計:2000 円
  • 実質割引率:(2000 - 1500) / 2000 = 25%

「半額 = 50% OFF」と思いがちだが、2 つ買って実質 25% OFF。

「3 つ買うと 1 つ無料(Buy 2 Get 1 Free)」:

  • 元値合計:3000 円
  • 実際支払:2000 円
  • 実質割引率:33.33%

ボリュームディスカウント

数量に応じた段階的な割引:

数量単価
1〜91000 円
10〜49900 円
50〜99850 円
100 以上800 円

「10 個目で 100 円割引」ではなく、全数量に新単価が適用される(あるいは「10 個以上の分にだけ」適用される場合もあり、規約を確認)。

季節セールの重複

ブラックフライデーや年末セールでよくある:

  • 通常 30% 引きの商品
  • 「今だけさらに 20% 引き」
  • 会員限定さらに 10% 引き
1000 × 0.70 × 0.80 × 0.90 = 504 円

「合計 60% 引き」と思いがちだが、49.6% 引き。3 つの割引を足し算しても合っていない

ローン・分割払いとの組み合わせ

「金利 0% の 12 回分割」:

  • 月々の負担は減るが、店舗側が金利分を負担している
  • だから「割引対象外」になることが多い

「割引と分割払いの併用不可」と書かれていることがあるのは、ベネフィットが実質二重になるため。

端数処理のルール

割引計算で端数が出るときの方針:

  • 切り捨て:消費者有利(小売の慣習)
  • 切り上げ:店舗有利
  • 四捨五入:中立

333 円の 20% 引き = 266.4 円:

  • 切り捨て:266 円
  • 切り上げ:267 円
  • 四捨五入:266 円

POS システムでルールを統一しておく必要あり。

効果的な割引の見せ方

行動経済学の知見:

  • 「100 円引き」より「10% 引き」:低価格商品で効く
  • 「10% 引き」より「100 円引き」:高価格商品で効く
  • 「2 個目半額」より「20% 引き」:実質同じでも前者が魅力的

「お買い得感」は実質よりも表記で決まる。ただし冷静に計算する習慣を。

まとめ

  • 重ね割引は乗算(足し算ではない)
  • ポイント還元の実質割引率は名目より小さい
  • 「2 つ目半額」は実質 25% 引き
  • 税金との順序は数学的には同じ(端数処理で差)
  • 大型セールの「合計 60% 引き」は罠

割引価格の計算には、本サイトの割引計算機が使えます。