ダイス記法:TRPG の NdN+M 表記とアドバンテージ

約6分

「2d6+3」「1d20」「攻撃ロールに有利」など、TRPG の世界では独自のダイス表記があります。本記事ではダイス記法の読み方と、確率の計算を整理します。

NdN 記法の基本

AdB+C で「A 個の B 面ダイスを振り、C を加える」:

  • A:振るダイスの個数
  • d:dice の頭文字
  • B:ダイスの面数
  • +C:加算する修正値(ボーナス)

例:

  • 1d6 — 6 面ダイス 1 個(1〜6)
  • 2d6 — 6 面ダイス 2 個(2〜12)
  • 3d6+5 — 6 面 3 個振って 5 を足す(8〜23)
  • 1d20 — 20 面ダイス 1 個(1〜20)
  • 2d10 — 10 面 2 個(2〜20)

主要なダイスの種類

表記面数確率分布用途
d441〜4 均等短剣のダメージ等
d661〜6 均等古典的、CoCで頻出
d881〜8 均等中型武器のダメージ
d10101〜10 均等パーセンタイル基底
d12121〜12 均等大型武器
d20201〜20 均等D&D の基本判定
d1001001〜100 均等パーセンタイル

物理的には d100 は d10 を 2 つ振る(10 の位 + 1 の位)。

確率分布

1d20(一様分布)

各目が 1/20 = 5%。

2d6(三角分布)

6 面 2 個を振った合計の出やすさ:

合計組み合わせ数確率
2(1,1)1/36 = 2.78%
3(1,2)(2,1)2/36 = 5.56%
4(1,3)(2,2)(3,1)3/36 = 8.33%
54 通り4/36 = 11.11%
65 通り5/36 = 13.89%
76 通り6/36 = 16.67%
85 通り5/36
94 通り4/36
103 通り3/36
112 通り2/36
12(6,6)1/36

7 が最も出やすい(モナド体な三角分布)。

3d6(より集中した分布)

3d6 は中心値(10〜11)が出やすい。1d18 + 2 とは違う:

  • 3d6:中心に集中(標準偏差 約 2.96)
  • 1d18 + 2:均一(標準偏差 約 5.19)

D&D の能力値(Strength 等)が 3d6 で生成されるのは、極端な値が出にくいから。

アドバンテージ・ディスアドバンテージ

D&D 5e で導入された仕組み:

アドバンテージ(有利)

  • 2 個の d20 を振り、高い方を採用
  • 平均値が 10.5 → 13.83(約 +3.3)
  • ナチュラル 20 が出る確率:5% → 9.75%

ディスアドバンテージ(不利)

  • 2 個の d20 を振り、低い方を採用
  • 平均値が 10.5 → 7.18(約 -3.3)
  • ナチュラル 1 が出る確率:5% → 9.75%

両方とも「3 のボーナス・ペナルティに相当」とよく言われる。

爆発するダイス(Exploding Dice)

最大値が出たらもう 1 回振って加算するルール:

  • 1d6 で 6 が出たら → 1d6 を再度振って加算
  • また 6 が出たらまた振る

期待値が 3.5 から 4.2 に増える。理論的には無限に伸びる可能性。

キープ・ドロップ記法

4d6dl1 のような記法:

  • dl1:「最低の 1 個を捨てる」
  • dh1:「最高の 1 個を捨てる」
  • kh3:「最高の 3 個を残す」
  • kl3:「最低の 3 個を残す」

D&D 5e の能力値生成:「4d6 を振って最低の 1 個を捨てる」 = 4d6dl1

期待値:

  • 4d6 = 14 平均
  • 4d6dl1 = 12.24 平均(最低を捨てるので高めに偏る)

クリティカルヒット・ファンブル

D&D 5e の場合:

  • ナチュラル 20(自然の 20):必中、ダメージダイスが 2 倍
  • ナチュラル 1(自然の 1):自動失敗

確率は各々 5%(1d20 で)。アドバンテージなら 9.75%、ディスアドバンテージなら 0.25%。

クトゥルフ神話 TRPG(CoC)の判定

D&D とは違うシステム:

  • 1d100 を振る
  • 技能値以下なら成功
  • 技能値の 1/2 以下なら「ハードプッシュ成功」
  • 技能値の 1/5 以下なら「クリティカル」
  • 96〜100:ファンブル

技能値 60% なら、60 以下が成功(60% の確率)。

ダイスシミュレーション

function rollDice(notation) {
	// "2d6+3" のパース
	const match = notation.match(/(d+)d(d+)([+-]d+)?/);
	const count = parseInt(match[1]);
	const sides = parseInt(match[2]);
	const modifier = parseInt(match[3] || 0);

	let total = modifier;
	for (let i = 0; i < count; i++) {
		total += Math.floor(Math.random() * sides) + 1;
	}
	return total;
}

rollDice('2d6+3'); // 5〜15 の値

実装上の注意:

  • Math.random() は弱い乱数(暗号用途は不可)
  • TRPG ツールでは crypto.getRandomValues() を使うことも

大量ダイスの計算

100d6 のような大量ダイスは中心極限定理により正規分布に近づく:

  • 平均 ≒ 350
  • 標準偏差 ≒ 17.08
  • 95% は 316〜384 の範囲

「200d20 で 1000 以上が出る確率」のような計算は近似で十分。

よくある拡張記法

記法意味
1d6+1d46 面と 4 面を組み合わせ
1d6 * 106 面の結果を 10 倍
2d20kh1アドバンテージ
2d20kl1ディスアドバンテージ
4d6dl14 個振って最低を捨てる
1d100 または 1d%パーセンタイル
(1d6)d66 面の結果分の 6 面ダイス

まとめ

  • AdB+C は「A 個の B 面 + 修正値 C」
  • 1d20 は均一、2d6 は三角分布、3d6 は中心集中
  • アドバンテージは「2 個振って高い方」、約 +3 の効果
  • 爆発ダイスやキープ・ドロップなど多彩な記法
  • D&D は d20、CoC は 1d100

ダイスを実際に振りたいときは、本サイトのダイスローラーが使えます。