ダイス記法:TRPG の NdN+M 表記とアドバンテージ
「2d6+3」「1d20」「攻撃ロールに有利」など、TRPG の世界では独自のダイス表記があります。本記事ではダイス記法の読み方と、確率の計算を整理します。
NdN 記法の基本
AdB+C で「A 個の B 面ダイスを振り、C を加える」:
- A:振るダイスの個数
- d:dice の頭文字
- B:ダイスの面数
- +C:加算する修正値(ボーナス)
例:
1d6— 6 面ダイス 1 個(1〜6)2d6— 6 面ダイス 2 個(2〜12)3d6+5— 6 面 3 個振って 5 を足す(8〜23)1d20— 20 面ダイス 1 個(1〜20)2d10— 10 面 2 個(2〜20)
主要なダイスの種類
| 表記 | 面数 | 確率分布 | 用途 |
|---|---|---|---|
| d4 | 4 | 1〜4 均等 | 短剣のダメージ等 |
| d6 | 6 | 1〜6 均等 | 古典的、CoCで頻出 |
| d8 | 8 | 1〜8 均等 | 中型武器のダメージ |
| d10 | 10 | 1〜10 均等 | パーセンタイル基底 |
| d12 | 12 | 1〜12 均等 | 大型武器 |
| d20 | 20 | 1〜20 均等 | D&D の基本判定 |
| d100 | 100 | 1〜100 均等 | パーセンタイル |
物理的には d100 は d10 を 2 つ振る(10 の位 + 1 の位)。
確率分布
1d20(一様分布)
各目が 1/20 = 5%。
2d6(三角分布)
6 面 2 個を振った合計の出やすさ:
| 合計 | 組み合わせ数 | 確率 |
|---|---|---|
| 2 | (1,1) | 1/36 = 2.78% |
| 3 | (1,2)(2,1) | 2/36 = 5.56% |
| 4 | (1,3)(2,2)(3,1) | 3/36 = 8.33% |
| 5 | 4 通り | 4/36 = 11.11% |
| 6 | 5 通り | 5/36 = 13.89% |
| 7 | 6 通り | 6/36 = 16.67% |
| 8 | 5 通り | 5/36 |
| 9 | 4 通り | 4/36 |
| 10 | 3 通り | 3/36 |
| 11 | 2 通り | 2/36 |
| 12 | (6,6) | 1/36 |
7 が最も出やすい(モナド体な三角分布)。
3d6(より集中した分布)
3d6 は中心値(10〜11)が出やすい。1d18 + 2 とは違う:
- 3d6:中心に集中(標準偏差 約 2.96)
- 1d18 + 2:均一(標準偏差 約 5.19)
D&D の能力値(Strength 等)が 3d6 で生成されるのは、極端な値が出にくいから。
アドバンテージ・ディスアドバンテージ
D&D 5e で導入された仕組み:
アドバンテージ(有利)
- 2 個の d20 を振り、高い方を採用
- 平均値が 10.5 → 13.83(約 +3.3)
- ナチュラル 20 が出る確率:5% → 9.75%
ディスアドバンテージ(不利)
- 2 個の d20 を振り、低い方を採用
- 平均値が 10.5 → 7.18(約 -3.3)
- ナチュラル 1 が出る確率:5% → 9.75%
両方とも「3 のボーナス・ペナルティに相当」とよく言われる。
爆発するダイス(Exploding Dice)
最大値が出たらもう 1 回振って加算するルール:
- 1d6 で 6 が出たら → 1d6 を再度振って加算
- また 6 が出たらまた振る
期待値が 3.5 から 4.2 に増える。理論的には無限に伸びる可能性。
キープ・ドロップ記法
4d6dl1 のような記法:
- dl1:「最低の 1 個を捨てる」
- dh1:「最高の 1 個を捨てる」
- kh3:「最高の 3 個を残す」
- kl3:「最低の 3 個を残す」
D&D 5e の能力値生成:「4d6 を振って最低の 1 個を捨てる」 = 4d6dl1。
期待値:
- 4d6 = 14 平均
- 4d6dl1 = 12.24 平均(最低を捨てるので高めに偏る)
クリティカルヒット・ファンブル
D&D 5e の場合:
- ナチュラル 20(自然の 20):必中、ダメージダイスが 2 倍
- ナチュラル 1(自然の 1):自動失敗
確率は各々 5%(1d20 で)。アドバンテージなら 9.75%、ディスアドバンテージなら 0.25%。
クトゥルフ神話 TRPG(CoC)の判定
D&D とは違うシステム:
- 1d100 を振る
- 技能値以下なら成功
- 技能値の 1/2 以下なら「ハードプッシュ成功」
- 技能値の 1/5 以下なら「クリティカル」
- 96〜100:ファンブル
技能値 60% なら、60 以下が成功(60% の確率)。
ダイスシミュレーション
function rollDice(notation) {
// "2d6+3" のパース
const match = notation.match(/(d+)d(d+)([+-]d+)?/);
const count = parseInt(match[1]);
const sides = parseInt(match[2]);
const modifier = parseInt(match[3] || 0);
let total = modifier;
for (let i = 0; i < count; i++) {
total += Math.floor(Math.random() * sides) + 1;
}
return total;
}
rollDice('2d6+3'); // 5〜15 の値 実装上の注意:
Math.random()は弱い乱数(暗号用途は不可)- TRPG ツールでは
crypto.getRandomValues()を使うことも
大量ダイスの計算
100d6 のような大量ダイスは中心極限定理により正規分布に近づく:
- 平均 ≒ 350
- 標準偏差 ≒ 17.08
- 95% は 316〜384 の範囲
「200d20 で 1000 以上が出る確率」のような計算は近似で十分。
よくある拡張記法
| 記法 | 意味 |
|---|---|
1d6+1d4 | 6 面と 4 面を組み合わせ |
1d6 * 10 | 6 面の結果を 10 倍 |
2d20kh1 | アドバンテージ |
2d20kl1 | ディスアドバンテージ |
4d6dl1 | 4 個振って最低を捨てる |
1d100 または 1d% | パーセンタイル |
(1d6)d6 | 6 面の結果分の 6 面ダイス |
まとめ
AdB+Cは「A 個の B 面 + 修正値 C」- 1d20 は均一、2d6 は三角分布、3d6 は中心集中
- アドバンテージは「2 個振って高い方」、約 +3 の効果
- 爆発ダイスやキープ・ドロップなど多彩な記法
- D&D は d20、CoC は 1d100
ダイスを実際に振りたいときは、本サイトのダイスローラーが使えます。